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【久田先生 第2回】睡眠とアトピー性皮膚炎~研究結果から~

研究

前回のおさらい

まず第1回目でもお話ししましたが、抗炎症ホルモンである副腎皮質ホルモンは夜寝ている時は分泌量が低下し、起床時に急激に分泌量が増える「ストレス対抗ホルモン」です。
ですから夜寝る時は、抗炎症作用が弱まり、痒みを感じやすくなってしまうという事です。

※第1回記事「安眠にとても大切な副腎皮質ホルモン」

温まるとかゆくなる

さて、アトピー性皮膚炎患者さんの病変部ではアーテミンという物質が多く沈着しています。アーテミンは皮膚末梢知覚神経の数を増加させるとともに、皮膚の温感を敏感にする事が分かりました。それにより「温まると痒い」という現象が起こるとされています(2012年7月大阪大学大学院情報統合医学皮膚科学教室での研究発表です。)
かゆみ
【図:大阪大学ホームページより引用】

また、夜になると副交感神経優位になります。するとリンパ球の一つであるB細胞が産生する免疫グロブリンという抗体が過剰反応を起こす為、多少の刺激にも敏感になります。
以上のような複合的な要因により、日中よりも夜間睡眠時の方がより痒みを感じやすくなってしまいます。

→そして痒くて掻いてしまう。

→さらに病状が悪化するという負の連鎖に陥ってしまうと考えられます。

寝ている間のかきむしりは浅い睡眠時に起こっていた

アトピー性皮膚炎の患者さんが睡眠中に皮膚を引っ掻く行動はノンレム睡眠ステージ1および2(より深い睡眠ステージであるステージ3、4と比べて)で、最も頻繁に起きています。また、レム睡眠でも頻繁に起きている(ひっかき行動の重症度はノンレム睡眠ステージ2と同程度)という報告があります(カナダ・ウェスタンオンタリオ大学 Madhulika A. Gupta氏らClinics in Dermatology誌2013年1月31日(1)118-126)。
簡単に言えば、深い睡眠の時より浅い睡眠の時の方が引っ掻き行動が多いという事ですから、当然と言えば当然の結果ですよね。

痒みを引き起こすメカニズム

また最近の話題では、 九州大学大学院の津田誠教授らのグループが、皮膚を激しくひっかくアトピー性皮膚炎のモデルマウスを使って、慢性的な痒みを引き起こすメカニズムを調べた結果、マウスがひっかく皮膚と神経でつながっている脊髄の中の「アストロサイト」と呼ばれる細胞が長期間活性化していることを発見。さらに「アストロサイト」のなかで「STAT3」というタンパク質が働くとアストロサイトが活性化し、痒みが起こることが判明しました。この「STAT3」が働くと、脊髄から「リポカリン2」というタンパク質ができて、痒みの神経伝達を強めていることも突き止めました。研究グループが「STAT3」の働きを抑制する試薬を与えたところ、マウスが皮膚をひっかく回数が半分以下に減ったといいます。今後はアストロサイトを標的にした治療薬やリポカリン2の産出を抑える治療薬を開発して、アトピー性皮膚炎の治療につなげたいとしています。

メカニズム
【図:九州大学 PRESS RELEASE  2015年7月21日より引用】

最後に

まだまだ病気自体の機序が分からないことが多くありますが、徐々に新しい薬の開発も期待できます。夜の痒み症状が軽減して良い睡眠がとれるようになりますように。
次回は睡眠薬の話を特集したいと考えています。

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