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【早坂先生第4回】湯治をする時の注意とは?

湯治

温泉に1週間以上滞在して保養する・・日本古来の湯治ですが、皮膚に関しての湯治は専門家にとっても難しいものです。湯治で皮膚にどのような変化があるのか、研究報告を紹介しましょう。

■アトピー性皮膚炎での湯治とは?

アトピーに対して湯治を行うことは、経験上以前から行われていました。主に用いられる泉質は、硫黄泉、酸性硫黄泉、アルカリ泉と言われています。急性のもの、または慢性であっても最近悪化しているものは避けたほうが良いのですが、慢性化したものについては注意深く温泉入浴を行えば効果が期待できます。ただし、早く治そうと何度も入ったり、熱い温泉に入浴すると、刺激となってかえって悪化の原因にもなります。専門医の指示を仰ぎながら経過を見つつ注意深く療養をすることが大切です。

■湯治の悩ましい問題①「湯あたり」

温泉で湯治を行うにあたり、悩ましい問題があります。それは「湯あたり」です。湯治が盛んだった昭和30-40年代には、湯治者における「湯あたり」の研究報告がたびたびされていました。湯治を始めて3日~1週間程度すると、疲労倦怠感、食欲亢進、便秘、眠気などの症状が発生します。これを「湯あたり」といい、頻度は5-40%程度といわれており、温泉地やその泉質によっても異なってきます。特に強酸性泉で頻度が高く、単純泉や炭酸泉で頻度が低くなります。入浴回数を減らす、または一時的に湯治を中止するなどすると改善することも多いのですが、他の病気が隠れている可能性もあり、自己判断は難しいものです。

■湯治の悩ましい問題②「温泉皮膚炎」

湯あたりの局所的なものとして「温泉皮膚炎」が挙げられます。泉質によっても変わってきますが、特に酸性泉や硫黄泉で頻度が高く、全湯治期間を通すと、炭酸泉で20%、強酸性泉で89%の人が湯治によって何らかの皮膚炎を経験したという報告があります。また、1日の入浴回数が2-4回の人で25%、5-7回の人で77%となっており、1日の入浴回数が多い人ほど、温泉皮膚炎を経験しています。この温泉皮膚炎は湿疹のようなものであったり発赤、かゆみであったり、またびらん(ただれ)として現れたりと多様な症状が出てきます。これが治癒過程のものなのか、元の病気の悪化なのか、それとも温泉による新たな副作用なのか、ということは、患者さん自身や温泉地のスタッフでも判断が難しく、温泉療法の経験を積んだ皮膚科出身の温泉療法医の診断が必要となります。私の所属する日本温泉気候物理医学会には、以前はこのような温泉療法に詳しいベテランの皮膚科医の先生方がいらっしゃいましたが、残念なことに最近はこのような先生方と学会でお会いすることも減りました。アトピーの湯治は単純ではなく、このような難しい問題もあることを頭の片隅に入れていただければと思います。

参考文献:杉山尚:温泉医学30-40, 1990

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